酪農ヘルパーという仕事について

酪農に携わる仕事の一つに「酪農ヘルパー」という仕事があります。酪農ヘルパーが何かを一言でいうと「酪農家の代わりに業務を行う仕事」となります。いきなり「酪農家の代わりに行う仕事」と言われても意味が
わからない人も多いと思いますので、少し説明をします。

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まずそもそもの酪農家の仕事について説明します。酪農家は牛を育てているので、365日作業をする必要があります。1日くらいたまには働かなくてもいいんじゃない?ということはできません。むしろ、半日もできないのです。なぜかというと、搾乳という乳を絞る作業を最低1日2回行っているからです。牛は定期的に乳を絞ってあげないと、おっぱいの病気になってしまうことがあります。人間のお母さんと同じで、ちゃんと定期的に乳を出さないといけないのです。だから、酪農という仕事は生き物を扱う仕事であることに加え、乳を絞るという作業が必要となるため、作業を止めるということはできず、休むことはありません。だから家族経営をしていると、家族みんなで休むことができないという課題に直面します。 

酪農家の実態として、多くの酪農家は、家族で経営していることが多く、従業員がいない。いたとしても1人しか雇っていないなんていう酪農家が沢山あります。家族経営だとすると、結果自分たちだけでは休みが取れないという状況に陥ります。家族揃って出かけることもできない。っていうことになります。
 
じゃ、酪農家は全然休めないのか?と。すごい大変な仕事じゃないかと。。。そこで酪農ヘルパーの登場です。
 
酪農ヘルパーは、酪農家が休みなどが欲しい時に、代わりにその酪農牧場に出向き、酪農の作業を代わりに行います。酪農ヘルパーが代行して作業をしてくれるので酪農家は休めるというような仕組みです。これでなんとか酪農家さんも休みが取れるようになりました。これが酪農ヘルパーの仕事です。

ちなみに、酪農ヘルパーは、基本的に農協に属していることが多く、多くの家族経営の酪農家が集まり、組合を作り、酪農ヘルパーとしてのスタッフを雇い、仕組みとして回しています。

僕はこの酪農ヘルパーという仕事の内容を聞いた時に、「なにこの変な仕組み」と思いました。
 
なぜなら、身近な仕事で置き換えた時にこんなことが考えられるからです。365日休みなく行っている仕事ってなにかなーと考えた時に、「コンビニ」が浮かんできました。(コンビニ自体は、365日営業しないといけないわけではありませんが・・・)まー、365日稼働している例で身近なものはコンビニかなと。しかも、そもそもは酒屋さんなどで家族経営がフランチャイズ店になったみたいなところも結構あるし。酪農に似ている気がします。

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例えばですが、コンビニが1日10時間くらいの営業で、かつ365日休みなく営業しないといけないとします。
家族経営で誰も雇っていないのです。そうするとどうなるか。休みとれませんよね。。。じゃ、「コンビニ」を営んでいる家族経営の人たちが、従業員を抱えず「コンビニヘルパー」組合なるものを作り休みが欲しくなったら、「コンビニヘルパー」に代わりに働いてもらう。こんな構造と同じです。
 
普通の世界じゃそれっておかしいよなと思いませんか。。。普通にそれぞれのコンビニで従業員雇おうよと思いますよね。もちろん、ヘルパー制度のメリットはたくさんあります。従業員を雇う必要がないので、1件1件の酪農家のコストは下がる。従業員を雇うより辞められるリスクも少ない。従業員のメリットとしては、いろんな牧場を見て回ることができる、人間関係ができる。
 
だから、酪農ヘルパーになる人の多くが酪農家の後継が学校を卒業して、実家に行くまでの修行として働く。
新規就農を目指す、農家出身でない人たちが修行、研修のために酪農ヘルパーとして働く。地元に残って働くための一つの職業として、酪農ヘルパーに就職する。という人で成り立っています。
 
ただ、この酪農ヘルパーという制度自体が危機に面している組合があるのです。それはなにか、酪農ヘルパーになる人材がいないということです。

●酪農ヘルパーが人材不足

ただでさえ、農業界は人材が不足しています。その中でも酪農ヘルパーに就職する人がより少なく、困っているのです。酪農ヘルパー自体がいないという状況です。
 
ちなみに今まではどうやって人材を確保していたのかというと先ほど書いた通り、
・酪農の後継者が自分の牧場で働く前に修行で働いていた
・酪農家の後継者ではなく、新規就農したい人がその前の修行として
・非農家の家でも地元で仕事をするための手段として
 
でも今は、後継も減っている、地元に残らない人も多い。新規就農する人も減っている。
そして、もう一つ大きな理由としては、地元に残ったとしてもわざわざ酪農ヘルパーになる人もいない。規模拡大している牧場も多く、酪農に携わるのであれば、ヘルパーではなく、大きい牧場の従業員になる。

こんな問題があるのです。。 

今、酪農家の戸数は減っていますが、規模拡大を図る農家が増え頭数は増えています。規模拡大をする酪農家は、従業員を雇うので、ヘルパーを使う必要はありません。そして、優秀な人材を雇うために、規模が大きな酪農家は、働く条件を整えていきます。社保完備にしたり、社宅を立てたり、頑張りに応じて給与を上げたり、責任ある仕事をしてもらったり、加工を始めたりと。そういう意味で、酪農ヘルパーという制度自体が今後難しいと思うのです。今後、個人経営の酪農家は減っていきます。規模を大きくして会社として、シフトを組み、牛乳を生産していくこと酪農企業が増えて行くと思います。そうなると組合を成り立たせる戸数が減る、ヘルパーとして働く従業員も減る。正直、、、僕はいつかなくなる職業だと思っています。だから、個人で酪農を経営するのであれば、このヘルパーの問題を自分達の手で解決できなければなくなると思っています。
 
でもでもでもでも、酪農ヘルパーで働くことにだって、いいことはたくさんあります!今、酪農で仕事をしたいなーという人は、ぜひ、酪農ヘルパーという選択肢も一つあるということを認識してもらえればと思います。

●酪農ヘルパーで働くメリットって
・色んな牧場が見れること
・人間関係も含めていろんなの牧場関係者と顔を合わせることができること
・待遇がいい
社保完備していたり、給料が高かったりと、車を貸与してくれたり普通に牧場で働くより待遇がいいなんていうこともあります。こういうをメリットを中心に新規就農の支援をしている農協なんかもあるのも事実です。
 

酪農ヘルパーのメリットは、農林水産省のページでも書かれているので、ぜひ、こちらを見てほしいと思います

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